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台湾旅行記とローカル台湾文化。哪吒三太子(太子爺)の追っかけ。

台湾お廟入門③ -台湾の神様 中壇元帥哪吒三太子Part1-

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今回は台湾の神様編。

ここまで当ブログで何度も何度も名前が出てきた中壇元帥哪吒三太子(チュウダンゲンスイ ナタサンタイシ)についてご紹介しようと思います。

きっと台湾に何度も行っている人なら会っていますよ!

お廟入門開始3回にしてごめんなさいですけどいきなりクライマックス。

でもきっとこの先も何度も何度も名前が出るので必須科目です。覚えてください(笑)

 

※哪吒三太子が書き手の人生最推しのため、誇張、私見が多々見受けられます。ご注意ください。

 

こんにちは!今回の主役は僕だよ!

 

 

 

最近見かける三太子

 

さて、

このキャラクターをご存知ですか?

 

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ちょっとクレヨンしんちゃんぽい、鎧っぽいものを着た男の子のキャラクター。

台湾の桃園空港、松山空港、高雄空港などのお土産売り場で見たことはないでしょうか?

この絵柄のお土産を買うとだいたい説明書きがついていますが…このキャラクターは三太子といいます。

 

そう、僕のことだよ!

僕にはお兄ちゃんが2人いて、3番目だから三太子と呼ばれてるんだ。

 

 

そしてこちらは高雄空港にありますモニュメント。高雄空港を利用した方見かけました?

赤い門の前に可愛い男の子が2人…

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これも両方共僕だよ。

よく見る僕の姿はこんな風に赤い前掛けか、鎧を着てるかのどちらかだね!年齢はだいたい3~7歳くらいだよ。

 

 

さてお次は見たことある方ない方わかれそうですね。台北ではあまり見られないかもしれません。

お廟のお祭りなどに登場する神様の人形で、中に人が入りダンスをしたりします。日本での台湾フェスなどにも登場することがあります。

このファンキーなキャラクターは電音三太子(テクノサンタイシ)

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これも僕だね。もともとはお祭りで登場する普通の人形だったけど最近は踊ったりオシャレしたり。

オリンピック会場やゴビ砂漠にもいったりしたよ!

 

  

ハイ、というわけでここまですべて同じ神様。

いまや台湾のキーキャラクターとしてグッズ化されたり世界各国に出張したりする三太子の元となっているのが、台湾で信仰の篤い神様、中壇元帥哪吒三太子なんですね。

 

 

中壇元帥 哪吒三太子(太子爺)

 

 

台湾で最も愛され(私見)最も可愛い(私見)神様、中壇元帥哪吒三太子。

当ブログに何度も何度もというか毎回登場しているように彼は少年の姿をした神様です。

 

 

もともとの名前は李 哪吒(リ ナタ)、中壇元帥は神様の役職名、太子爺は神様としての愛称。

太子爺は非常に人々に近しい親しみのある神です。そのご利益は駆邪、児童保護、運輸業、交通業などなど。

その子供の愛らしい姿と神通力、武力の強さから子供からお年寄りまで幅広く信仰されています。

 

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お廟に入ると、祭壇の一番手前に小さい、車輪に足を乗せ、槍を掲げた鎧を着た神像が目に入るのではないでしょうか。そちらが、中壇元帥哪吒三太子です。

 

哪吒太子の像はとても特徴的。

槍の名は火尖槍、穂先から火を噴く槍。

手に持つ輪は乾坤圏、投げて攻撃する金の輪。

足に踏む車輪は風火輪、火を噴きながらすごいスピードで空を飛ぶ車輪。

羽衣は混天綾、水を振動させる羽衣で海を揺らします。

着ているものは鎧。天界の軍を率いる武将であることを示しています。

 

特に風火輪は速い移動の象徴として、交通運輸業の神となった理由です。それに速い、ということから暴走族からの信仰も集めてます。速さは大事。

 

神像はお顔や形がそれぞれ違っても持つ宝具は大体同じなので、この宝具を持っている無髭の神様がいれば中壇元帥哪吒三太子です。

お見かけしたらご挨拶していってくださいね! 

 

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ちなみに、哪吒太子の出身は中国の神魔小説『封神演義』または『西遊記

西遊記の斉天大聖孫悟空三国志演義関羽と同じく、物語の中から神様になった人物です。

哪吒の出典については別記事でたてますのでご興味のある方はよろしくお願いいたします。

 

 

妖魔退治のエキスパート 哪吒三太子

 

台湾の特徴的な哪吒信仰というと大きく2つ

  • 主神を護り、先陣をきる開路伸信仰
  • 集落の人々の生活を守る五営信仰

 

そしてここに共通するのが、哪吒三太子は悪鬼妖魔、魑魅魍魎を駆逐する神であるということ。

子供の姿をしていますが、彼の神様としての役職は中壇元帥。

つまり哪吒太子は天界の軍を率いて妖魔を降伏させるエキスパートであり大元帥なのです。

 

中壇元帥の由来

 

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 ↑ 左手の旗が五営神軍の象徴。この旗があるお廟は五営神軍に守られています。

 

太子爺の役職名である中壇元帥。その由来に少し触れてみます。

 

台湾の神様の世は神様は家族親類などの血族ではなく、それぞれの役職で成り立っている縦割り組織。ざっくり会社みたいに考えてください。大きな組織図のある大企業です。

 

その中に警察のような、付近をパトロールし、悪いものがいれば捕え、平和を維持する為の軍隊がいます。それが五営神軍

悪いものを捕まえるというより制圧する機動隊みたいな感じでしょうか?

 

五営神軍は5つの軍隊からなり、それぞれ東西南北中を称しています。

その軍にはそれぞれ将軍、兵頭がいて軍馬と兵がいます。

その中の中営を担い、五営すべてを統帥しているのが哪吒太子。中壇元帥の中壇は五営軍の中営から来ているんですね。

 

五営軍のお仕事は人々の平和を維持すること。

その人々はまさに我々現代に生きている今の人々です。台湾、特に南方ではお廟の中に五色の旗を置き、お廟の外の四方に五営軍の祠を建て、自分たちの集落の安全を五営軍に託しているんですね。お廟では毎月五営軍に日々のお仕事の感謝を伝える儀式があったりと、目には見えないけれど自分たちの中心地であるお廟の主神を守り、自分たちの生活を守る、人々のすぐそばにいる存在、それが五営神軍です。

 

 

人々に近しい神様

 

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  ↑ いろんな哪吒三太子。バリエーションが豊富で飽きることがありません。

 

太子爺は人々にとても近い神様と言えるでしょう。

そして何より、現世利益を重視する台湾民間信仰の中で、彼の神様としての立ち位置はあまり高過ぎず低過ぎず、日々のお願いや相談をしやすいといえます。

ましてやその子供の姿から老若男女問わず好かれ、キャラクター化、グッズ化もしやすく重ためな宗教という垣根を取っ払う存在ですね。

 

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 ↑ 家にある三太子グッズの一部。可愛らしいのばっかりです!

 

かくいう私も今や台湾三太子に惚れ込んで台湾に通っている者…

中壇元帥・太子爺の神さまとしての威厳、恩赦、三太子としてのポップでキャッチーな親しみやすさ可愛らしさの二面性にすっかり掴まれています。

長年の追っかけの贔屓目もあるでしょうが、私には宗教色がだんだんと薄まる台湾の中で、三太子がその繋ぎ手となっているように思えてしまいます。

是非台湾に行かれた際は気にかけてみて下さい。

台湾で街歩きしてたりお土産探してたりすると知らず知らず結構僕に会ってると思うよ。次はきっと見つけてね!

 

 

台湾における哪吒三太子信仰

 

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↑台湾最大の哪吒廟 台南新営太子宮

 

最後となりましたが、台湾では哪吒三太子信仰がとても盛んです。

それは何故かと長らく考えてきましたが、このところ思うのは端的に言って、哪吒と台湾人は気質が合うんじゃないかと。 

台湾は四方を海に囲まれた島国で、哪吒は龍殺しと治水の話を持つからとか、高すぎない神格の丁度良さとか。

でも哪吒三太子のガッッッとした熱量が台湾人の熱量にマッチして、哪吒信仰は台湾でガッッッッと膨れ上がったんじゃないか…とそんな気がしています。

 

妄想は置いておいて、大きい理由の一つに神おろしのシャーマン童乩(タンギー)の存在があります。

童乩は神を自身の身に降ろし、トランス状態の中自身の体を傷つけつつ神の言葉を届けます。

哪吒三太子は童乩と高すぎない神格と苛烈な性格がよく合います。 

この哪吒三太子と童乩の相関性は今後探っていきたいところです。

 

次回は

 

なるべくライトに三太子の紹介をしようと…思ったんですが、人生の最推しへはやはり自制が効かなかったですね…^^;すみません…正直哪吒関連はいくらでも記事が…書ける…

他の台湾の神様も紹介していくつもりですが、ここまではきっと書けません。先にお詫びしておきます。

 

次回?は三太子のPart2を書きましょうか。

もうこうなれば正気は置いといて哪吒太子の出典をもう少し掘ってみようと思います。

台湾で篤い信仰を集める三太子、その元々の哪吒太子とは何なのか。

中国台湾だけでなく日本のマンガやゲームにも登場する<哪吒>その元に迫ってみたいと思います。

次は『封神演義』『西遊記』の話が多いよ。また次もよろしくお願いします!

 

次回もどうぞよろしくお願いいたします。